あたしの似顔絵

「ただいま……」

「あぁ、おかえり」

 いつもと変わらない、優しさが滲んでいるような笑顔でお母さんが言った。

「もうちょっと待ってね。お母さん裁縫苦手なのよねぇ」

 友達に自慢しようと楽しみにしていたのに、今、見せる子はもういない。

 でも、もういいよとは言えなかった。

 理由を聞かれてごまかせる自信は無かったし、嘘もつきたくなかった。