「俺、美羽ちゃんが好きだ」
彼は…翔生は笑った
「私だって…好きなんだから…」
私は今度は安堵の涙で溢れて、次から次へと流れ落ちる
「美羽ちゃん、本当に好きな人には、唇で嘘をついてもバレちゃうからね」
「っ~…!」
翔生は私を優しく抱き締めた
なんなのよ、と周りにいた女の人たちは不満そうに去っていった
「目、つむって」
私はゆっくり目をつむると、唇に懐かしいあの彼の感触が広がる
「…もう、俺のものだからね」
「っ…バカ」
彼は私がついた嘘を糸も簡単に、見抜いてしまった
彼は笑って、ただ、甘い口づけを私に与えてくれた
それは私にとって、溺れるような恋心を、感情を植え付けて逃がしはしなかった
‐END‐

