イサムの13回目の命日。

神奈川県のはずれのY市。米軍基地がある街。
生まれ育ったこの場所でイサムは永遠の眠りについている。

この13年間、僕はどんなに忙しくても時間を作り、こうしてここに来ている。


その日は朝から、細かい雨が降り続いていた。


「WARNING!米軍関係者以外の、許可なき者の立ち入りを一切禁止します」

基地のフェンスに掲げられた看板の文字が、雨で濡れて滲んでいる。
これでもかというほどの有刺鉄線が張り巡らせ、部外者の進入を阻んでいた。

その向こうでは、外国ナンバーの車が猛スピードで走り去っていき、雨に濡れながらジョギングをする、2人の若い米兵の姿も見えた。