「JUNCTION」は一風変わったBARだった。

BARというより、カフェテリアといった感じだろうか。

メニューには一通りのカクテル名が並んでいるが、店の照明は明るく、訪れる客層も会社帰りのOLが多く、ハンバーガーやピラフなどの軽食しか注文がこなかった。

僕やイサムの男性陣は、カウンターの中でシェイカーを振ったり、簡単な軽食を作る。
女性陣もカウンター内に来ることは稀にあったが、メインはウェイトレスだ。彼女たちがオーダーを取り、我々が作る。

店長は系列の違う店に行っていることが多く、店に顔を出すことは少なかった。

こんなんでいいのだろうか・・・。
僕やイサムのような未熟なバイトが作る、酒や料理で、はたして店が成り立つのだろうか。

店がオープンしてから数週間は、目の回るような忙しさで、そんな疑念もいつしか忘れていった。

閉店し、へとへとに疲れていても、気持ちは充実していた。


まかないの遅い夕食を摂って仲間と外へ出ると、夏の終わりの心地よい風に吹かれた。

風の中に柔らかさを感じる。

見上げれば満月が、僕らの頭上で光り輝いている。

季節は夏から秋へと変わろうとしていた。