電話を切るのは昨日よりも名残おしかったけど、チカ達との約束の時間が迫ってきていたので仕方なく受話器を下ろした。



訓練場までの薄暗い長い廊下を早歩きで歩いていると、頭上にカメラのレンズのようなものが浮かび上がった。



…ここに監視カメラなんて無かったはずだけど、いつの間につけたんだろう。


どうやら暮羽さんは僕の行動を監視したいらしい。


この様子だと訓練場にも監視カメラがつけられてるんだろうな…


別に見られて困るようなことをするつもりは無いからいいけど。




訓練場の扉の前まで来ると中から光が洩れていて、すでに二人が中に居ることを僕に知らせた。


中に入ると深夜だと言うのにチカは僕の方に元気いっぱいに手を振ってくれる。


そしてその隣には少し眠そうなシッキョウの姿があった。


眠そうに目を腕で擦るシッキョウに暮羽さんの面影は無く、心の奥底で安心している自分がいた。


パイプが連なる天井に視線を移すと案の定監視カメラが設置されていた。


チカとシッキョウは気づいていないみたいだったけど特別言う必要も無いと思いだまっていた。


僕は監視カメラの存在に僕が気づいていることをわからせる為に少しの間、妖しく光るレンズを見つめた。