“…どうだ?順調なのか?そっちは…”
この時間だけは全部忘れられる。
僕がたった今してきたことも、暮羽さんの存在も。
アレジとの約束を守り、ウチに連絡を入れると今日はワンコールでアレジが受話器をとってくれた。
心配そうに僕の状況を尋ねてくるアレジ。
夜も遅いのに電話の前で待っててくれたのかな…
「凄く順調だよ?努力家の子2人と接触できることになったんだ」
チカとシッキョウのことを伝えるとアレジは安心したような声で相槌をうった。
僕はさっきから受話器の向こうで喚いているノイローの声が気になってしょうがない。
笑いを堪えきれず息を漏らしてしまう僕にアレジも声が柔らかくなる。
“ノイローが代われってウルサイからかわるな?”
そう言って小さく笑うアレジの声が聞こえなくなったと思ったら直ぐにノイローの声が聞こえた。
“何二人で楽しげに話してんだよっ、ムカついてしょーがねぇー”
ノイローの声色から拗ねていることがわかって、後からアレジ、なだめるのが大変だなぁなんて考えると自然に頬が緩んだ。
その後ノイローがウチでの出来事や星男やホロのことなんかを教えてくれて、僕もノイローとアレジと同じ空気を共有したような気持ちになることができた。

