「アンタがNo.00だったんだな」
そう言ってシッキョウと呼ばれた青年は僕の方に近づいて来た。
「シッキョウはすげぇーんだぜ?2年前にここに来たばっかなのにあっと言う間にNo.01をかっさらって行きやがったんだ」
俺立場ねぇーよなー、とチカはボヤいたが、あまりナンバーにはこだわって無いみたいだった。
「チカから聞いた、訓練してくれるんだって…?」
「あ…うん、付き合ってくれると凄く助かるよ」
チカとは真逆の冷たいオーラを放つシッキョウに一瞬体が強張ってしまった。
「…こちらこそ、アンタから直々に教えて貰えるなんて光栄だ」
そう言って手を差し出してくるシッキョウに、直ぐにその手を握り返そうとしたけど出来なかった。
「…僕を試してるの?」
手を握り返さずに腕を降ろす僕に、シッキョウは冷たい笑みを浮かべた。
「さすが…今まで誰にも0を譲らなかっただけの事はある」
そう言って袖に隠していたナイフをチラつかせるシッキョウが少し怖かった。
「…それは過去の話だよ、お願いだからナンバーではなく夢太って呼んでくれない?」
僕がそう言うとシッキョウはいいですよ…と言って再び僕の体を強張らせる笑みを浮かべた。

