俺とノイローは夢太が少しづつ少しづつ口にスプーンを持っていく様子を夢太がオレンジゼリーを全て完食するまで側で観察していた。


夢太の痩けた頬が小さく動くのを見つめながら…早く普通の子供らしさを取り戻して欲しいと心の中で願った。

どこでも手に入るような安っぽいゼリーを心底嬉しそうに口にする夢太の顔を見て、俺はこの子供に…もっと普通の幸せを与えたいと強く心を揺さぶられたんだ。









「…ノイロー、寝た?」


「…寝た、もう夢の中だ…邪魔すんな」

面倒くさそうに体を捩りながら掠れた声でそう返事をしてくるノイローが可笑しくて笑みが溢れた。


俺はいつもノイローに救われている。

だけど俺もノイローに救われる事でノイローを救っている。


こんな少し歪んだ関係を心地いいと感じて求めてしまう俺は、夢太とノイロー以上に病んでるんだろうな。


直ぐ隣から聞こえ始めた聞き慣れた寝息の音に瞼が重くなり、俺はそれに逆らわずにそのまま目を閉じた。