ダイアルを回す手が震えて何度も番号を間違えた。
こんな時間にかけたら迷惑だと思うけど、後でゆっくり怒られよう。
今はそれすらコイシクてたまらない。
漸く繋がった頃には汗だくだった。
1回
2回
3回
4回目の呼び出し音の途中で、僕の最も聞きたかった声が聞こえた。
“…夢太テメぇ…無断外泊なんかしやがって、帰ってきたら覚えてろよ?”
まだ一言もしゃべってないのに…違う人だったらどうするの…?
「…うん、わかってるよ…ノイロー…っ」
僕は嬉しさと安心感で立っていられなくなり、受話器を持ったままその場に座り込んでしまった。

