「少し自分の力を買いかぶり過ぎていやしないか?この話はお前が以前の力を持っていなかったらそこで終わりなんだぞ?少しは危機感を持ったらどうだ」


…そんなの言われなくたってわかってる。


暮羽さんは僕に仕事内容を伝える灰色の封筒と鍵の束を手渡した。


「お前の世話を焼く人間はもう誰も残っていない、だから自分の事は自分でしろ。そうは見えなくても…お前はもう17だろ?」


僕の年を覚えていたということに少し驚いてしまったが、この棟で僕に何かを無理矢理強要する人間がもういないと言うことを聞き、素直に嬉しかった。


「…まぁ絶対に無理だとは思うが、他の子達の誰か一人でも過去のお前を越える人材に育てることが出来たらいつでもお前を大好きな家族とやらの所に帰してやる」


暮羽さんは嘲笑うようにそう言い放ち部屋を出て行った。



僕はどんな形でも許可を貰うことが出来たことに安堵し、取り合えずすることはキッチリこなす必要があったので、暮羽さんから受け取った灰色の封筒の中身を確認した。