俺はその後しばらくの間トイレに閉じこもり頭の中を整理してホロに言われたことをアレジとガキに話した。


その話の内容に沈んでいたアレジの目に光が戻った。


俺は内心あまり乗り気ではなかったが、平気で子供に残語なことをさせる地獄のような所に無理矢理帰すことはできなかった。



「お前はどうしたい…?俺達と暮らすのが嫌ならそう言えよ、それにもし…帰りたいっていうならバイクで送ってやるし、」


ガキは俺の言葉に、嫌だっ!!と顔を青ざめ、叫んだ。



「…本当にいいのか?正直俺らもまだガキだし…満足な生活ができねぇかもしれねぇ…」


俺がそう言って再度確認すると、ガキは訴えるように力強く俺を見上げてきた。













「僕もう…帰るとこないっ…」






その時の夢太の目を見て俺は思ったんだ。


帰る場所がねぇのはコイツも同じなんだって。















「…もし…万が一だぞ?」


俺が口を開くと、寂しそうに窓の外を見つめていたアレジは俺の方に顔を向けた。


「なにが?」


「さっきの質問だ馬鹿、もし夢太がこのまま帰ってこなかったらってやつだよ。」


アレジは余程どっぷり自分の世界に浸かっていたのか、あー…、と思い出したように相槌をうった。


「…絶対にないと思うが、もし帰って来なかったら暮羽の所に乗り込んで無理矢理にでもウチに引きずって帰ってやる」

そう言って新たな煙草に火をつける俺に、アレジはようやく表情をゆるめた。



しかし結局、俺達の望みとは裏腹にその日夢太が帰ってくることはなかった。