家に帰りたいとも親に会いたいとも言わないガキをそのままに、俺達は数日間ホロの家でいろんなことを考えに考えた。
俺達は結局はあの女に復讐するという目標を立てることで逃げ道を探していたに過ぎない。
先のことを考えるのが怖ぇからな。
この世界で自分の居場所を失い…果たして俺達は何に向かって歩んでいかなければならないのか…いくら考えてもわからなかった。
あの女がアレジの親父さんとお袋さんを殺した理由は、ハウスという所から逃げ出し暮羽とかいう奴から永久に逃げるにはそれなりに金がいる、まぁそんな所だろう。
おそらくアレジじゃなくても他の誰でも良かった筈だ、アレジはたまたま偶然標的にされちまっただけだ。
女が死ねば悲しみが消えると思っていたが、人間はそんなに単純にできてないらしい。
俺はいくら慕っていたからと言っても所詮は赤の他人、その点アレジは血のつながっている実の親をいきなり失い、自分があの女と付き合ったばっかりに…自分が殺したも同然だと自分を責めていることだろう。
そんなのあの女がいなければ何も起こらなかった事で…別にアレジのせいではない。
だけどアレジはそう言う奴だ。
俺の百倍は繊細に作られてやがる。
アレジはガキと話したあの時以来極端に口数が減り、魂が抜けたように壁際に座っていることが多くなった。

