「じゃぁ…次は俺達が一番知りたい事を聞くけどいいか?」

少し間があったが頷いたので核心に迫る事にした。

「アレジが昨日聞いたと思うが…俺達はお前が殺したあの女について知りたい」

俺の問いに只でさえ乏しい表情が、いっそう固まってしまったように思う。


ガキはパックの中が空になったらしく、針を自分の腕から抜きながら淡々と話し始めた。



「…あの人は悪いことをしたから罰を受けただけだよ」


「悪い事…?」

アレジがそう聞き返すとガキは黙って頷いた。


「あの人は暮羽さんを裏切ってハウスから逃げ出した、だから殺した」


「その…暮羽って言うのは何者なんだ?偉いヤツなのか?」

俺の問いにガキは今度は深く頷く。

「…ハウスの中で一番エライ人。暮羽さんは支配する人、僕たちは支配される人」


なんだそりゃ、意味がわからねぇ。

「ダメだ全然わからねぇ…アレジ頼む」

どんどん泥沼に落ちていっているような気がする。


俺の質問の仕方に問題があるのかと思い、後はアレジに託した。


アレジは再びガキの側に近づくと、ガキの目を真っ直ぐに見据えた。



「暮羽っていう人に言われたから、あんなに…酷い殺し方をしたの?」


優しくそう問いかけるアレジにガキは唇を噛んで小さく首を左右にふった。


「…殺し方はいつも決められてない」


「だったら…なんであんなにバラバラにした?」


アレジの問いにガキは困ったように顔をしかめた後、重たそうに口を開いた。





「……憎いから」

静かに小さな声でそう呟くガキに背中が冷たくなった。