「なんなんだよコイツは?!何で食わねぇ?そんなナリしてんのに腹へってねぇのかよっ!」


ガキが自然に目を覚ました頃、ホロの指示通り薬を飲ませる前に何か食べさせると言うヤツを実行しようとするが、その身に骨と皮しか無いと言うのに食べるのを嫌がる。


睡眠不足がたたって少々ヒステリックを起こし気味な俺を当の本人は、俺を得体の知れない生き物を見るような眼差しで見つめてくる。


いや違ぇだろ、得体の知れないのは俺じゃなくてお前だよっ!!

よっぽと言ってやろうかと思ったが、流石に大人げないので止めた。

俺がガキとそんな攻防戦をしていると隣でアレジが冷静に一言、食べたがらなかったら無理には食べさせるなと書いてある、と冷静に切り捨てる。


何か俺昨日からマヌケじゃね?


アレジはメモに目を通しながらホロが俺達に預けた薬等が入った袋に手を突っ込む。

アレジはその中から、透明な液体が入ったパックと注射針がビニールチューブで繋がれている物体を取り出した。


「もしかして…これ俺達がさすのか?」

「…おいおい…嘘だろ…?大丈夫なのかよ」

ホロならともかく、医療の知識がまるで無い俺達が他人に針をさすのはかなり抵抗がある。

俺とアレジがホロのメモを読み返していると、さっきまで椅子に座って足をブラブラさせていたガキが直ぐ側に居て腰を抜かしそうになる。


「お前…っ、気配消すんじゃねぇよっ」

ガキは俺の抗議にチラッと俺の方を見たが、直ぐに視線の先をアレジに向けた。


なんだその俺を馬鹿にしたような目は。


納得のいかない俺を他所に、何処までも勘に触るガキはアレジの手から奇妙な物体を引き抜いた。


「…自分で出来るから」


そう言ってビニールチューブを引きずりながら椅子に戻るガキに俺達はどうしたらいいのかわからないので立ちつくすしかない。