「私はホロ。そして目付きが悪い方がノイローで、男前な方がアレジよ」

ガキに簡単にそう説明するホロがハッキリ言って面白くねぇ。



「……目付きが悪くて悪かったなぁ。どーせ俺は男前じゃねーよ」

不機嫌オーラ全快でそっぽを向く俺に、ホロは面倒だから拗ねないで、とピシャリと言い放つ。


面倒ってなんだ面倒って。


ガキは俺達の顔を交互に見て何か考えているようだった。


…しかしまぁ表情のねぇ奴だな…


動作や目の動きで少なからず動揺している事はわかるが、眉一つ動かさないなんて逆に難しいだろ。


俺がそんな事を考えていると、今まで黙ってガキを見つめていたアレジがガキの居る白いベッドに近づいた。



ガキはそんなアレジに一瞬ビクッと反応したが、もう武器を持っていないらしくシーツを固く握りしめてアレジから視線を反らさない。

「お前は誰なんだ…?こっちは名を明かしただろ?」

極力怯えさせないように優しく話かけるアレジの姿を後ろから壁に寄り掛かり観察する。

そりゃぁもう…聞きたい事が山程あるだろうに、冷静を装うアレジには感心する。





いや…、冷静では無いみてぇだな。


ガキにわからないように腕を後ろに回し、腰に刺さっている銃に手を伸ばすアレジに、…お前もやっぱり人間だったんだな、と妙に納得してしまった。


ガキはアレジの質問には何も答えず、小さく首を横にふる。

アレジは構わず質問を続けた。


「今…首を振ったのは俺達には名前を教えられないってこと?」

ガキはアレジの問に困った様に黙りこむ。


それは肯定しているのか、他に言いたく無い理由でもあるのかはわからない。


案外、その両方なのかも知れねぇけど。





「じゃぁ…質問を変えようか。」




アレジは一度言葉をためてから、俺達の求める核心をつく言葉を口にする。










「どうしてあの女を殺したんだ…?」






アレジがそう尋ねるとガキの顔が青ざめた。