ドアを開けると予想外の展開が目に飛び込んできて、アレジに遅れて慌てて俺も銃を構えた。


ホロの施した処置のお陰なのだろう。


死体の様に淀んだ目をしていたガキの目には生気が宿り、最悪な事に刃が三枚に連なるナイフのような物をホロの首筋に押しあてていた。


まだ…武器を持っていやがったのか


いきなり入って来た俺達に驚いたのか体をガタガタと震わせている。


「…持ってるモノを下に降ろせ」

そうガキに言い放つアレジに、また出遅れちまったと俺は舌打ちをした。


「ごめん、私の配慮が足りなかった。大丈夫だからっ、この子は自分の知らない所に連れて来られて怯えているだけよ!」

だから二人とも銃を下ろしてっ、と訴えるように見つめてくるホロに、俺達は渋々銃を降ろした。



今まで血まみれでどんなツラをしているのかもわからなかったが、ホロの手によって綺麗にされたミイラの出来損ないは、かろうじて男のガキだと認識出来るようになっていた。




一向に武器を下ろす気配のないガキにイライラしながら俺とアレジは、怖くないのよ、何も不安になる事なんてないんだから、と懸命に説得するホロと、うろたえる様にキョロキョロと激しく辺りを見渡す奇妙なガキとのやり取りを暫くの間黙って見ていた。





やっとの思いでホロがガキの手から武器を奪った頃、今まで喋る気配すら感じさせなかった奇妙なガキの口が開いた。















「…だれっ…?」


その声は…掠れている上に聞き漏らしそうになる程小さかった。



見た目とは違い声は間違いなく子供の声で、心の奥底で安堵している自分がいてそんな自分に俺は再び舌打ちした。