「どうしたのよこんな時間に。…まさか女孕ませたから金貸せとか言わないでよ」

そんな嫌味を言いながらも優しく笑いながら深夜に男二人を快く家に上げてくれるホロの好意に素直に甘えた。


ホロだけは今も昔もいい女だと思う。


家の中は相変わらず書物が散乱して足の踏み場も無かったが別に気にしたりはしない。


「こんな時間に悪いな、俺達ここ以外行くトコねぇんだ」

俺がそう言うとホロの表情が少し曇った。


「ホントに…この世界にマシな人間がもう少しいてもいいのにね…?」


俺達がどうして行く所が無いのかホロは何も聞かない。

ホロはアレジの抱えているモノを見て俺達を別の部屋に通した。





「この子供…喋らす事が出来ると思う?」

ミイラの出来損ないを見て頭を抱えるホロに、アレジはホロの顔色を伺うようにそう問う。



「…少しの間、外に出ててくれない…?」


アレジの問いに目が醒めた様にホロの表情が真剣なものになる。


俺とアレジは言われた通りに一度部屋の外に出た。







「…あの子供2、3日したら死んでるかもな」


心を落ち着ける為か珍しく煙草をくわえるアレジに俺は自分のライターを渡した。


「ホロが何とかするだろ…あいつはバイクで壁に突っ込んだ俺の粉砕した右腕を1人で治した女だぜ?」

そう言って右腕を回して見せるとアレジはそれもそうだな…、とゆっくり煙を吐いた。


ホロは言わゆる天才少女って奴だ。

家が病院だって言う事もあって医者になるのが夢らしい。

それに加えて負けず嫌いなホロは年齢の事でガタガタ喚く大人達を黙らせる為にそれはもう俺達が想像も出来ないような努力をしている。


そんなホロは色んな意味で最強だと思う。



二時間もかからない内にホロから部屋の中に入る許しがでた。