アレジのお袋さんと親父さんを殺した犯人は直ぐにわかった。
アレジが付き合っていたあの女だった。
金庫に入っていた金が綺麗に無くなっていた事から金目当てで殺したのだと容易に推測でき、前々から計画していたのか女のアパートには何も無かった。
何も残っていないその部屋を見た時のアレジの顔を見て、コイツは一生人を信じられないかもしれないと思った。
生憎俺達はその女を許せる程大人ではなく、怒りだけが頭を支配していて俺達はありとあらゆる手段を使ってその女を探し回り、一ヶ月もかからない内に女の居所を突き止めた。
女の隠れていた所は意外にも俺達の住んでいた街からそう遠くない距離で驚いた。
以前女が住んでいたアパートとそう変わらない古い建物の歪んだ階段を上りながら俺達はどうやって殺してやろうかと興奮を抑えきれずにいた。
この時の俺達にはまだこの後直ぐに自分達に取って重要な出会いをする事を知るよしも無かった。

