暮羽さんは何か考えてから僕を見つめた。


「…俺が7年前…お前を迎えに行かなかった理由がわかるか?」


「…疲労と薬漬けで限界で精神的にもボロボロになった僕に飽きたから?」

即答する僕を暮羽さんは笑った。


「使えない道具には興味が無いからな」

別に驚きはしない。


この人はそう言う人間だから。


今更なんでこんな話をするのか僕にはわからなかった。


僕は黙ったまま暮羽さんの話を聞き続ける。



「お前が居なくなっても俺には愛してやまない子供達がまだ沢山居たから…直ぐにお前の事は忘れたよ」



可愛がっていた筈の他の子達に僕がしていた仕事をさせようとしていたことを知って少し驚いた。


よく言い聞かせられていたから。

他の子達とお前はまるで違う生き物だと。



「でもどれだけ優秀な者にお前と同じ位の技術を教えさせても駄目だった…お前を越えられた奴は一人も居ない」


内側からジワジワと怒りが芽生えてくる。


それはそうだろう。


僕を越えるのは簡単であるはずが無い。