そんなの…
貴方がくれなかったんだから仕方ないじゃないか。
「そもそも…なぜ今更あんな手紙をよこしたんですか」
睨み付けるようにそう言うと暮羽さんは胸元に手を入れ一枚の写真を取りだして僕の方に放った。
写真は僕の足もとに落ちた。
そこには2才くらいの愛らしい子供が写し出されていた。
訳がわからず暮羽さんの方を見上げる。
「名前はアキ。二年前に産まれたんだよ、お前の弟になる」
益々わからない。
まさかこれを知らせる為に僕を呼んだのだろうか。
だったら全然いい。
別に弟ができようが妹ができようが僕と暮羽さんの関係が何か変わる訳でもないだろうから。
期待する事は遠い昔に忘れた。
それに僕はもうこの人は必要ない。
ノイローとアレジがいればいい。
もう僕は貴方を血の繋がった親子だとは思っていないし貴方の都合のいい奴隷でもない。
他人事のようにおめでとうございます、と言ったら暮羽さんはありがとう、と大して興味も無さそうに返してきた。

