バッジって言うのは多分…ナンバーが書かれたやつのことで、簡単に言えば名札のようなものだと思う。

今はナンバーを人に見える所に付けなければいけないのか…


僕はキッパリとバッジは持ってませんと答えた。


僕だって好きでここに戻ってきた訳じゃないんだ…。


だったら通す訳に行かない、そう言って黒スーツの男達は無理矢理僕を外に出そうとした。


「僕だって来たくなかったけどっ、仕方ないんだよっ…」

僕の体を引きずるように掴む沢山の腕が気持ち悪くて頭に鋭いナイフが一瞬にして通り抜けていくような痛みが走った。

「っ?!あぶないっ、離れろっ!!」


背後で自動扉の開く音と共に一人の青年が僕を掴み離さない男達に体当たりするようにして強引に男達を僕から引き離した。



その行動の意味は直ぐにわかった。


僕の手には小型の銃があって、銃口からは煙が出ていた。

握っていたのは僕の手に馴染むようにノイローが作らせた特注の銃。

そう夢太Jrだ。


無意識に体が動いていたと言う驚きよりも、ノイローとアレジの優しさが詰まっている銃を躊躇いもなく“ただの道具”として使ってしまった罪悪感に襲われ、押し潰されそうになる。


男達の恩人とも言える青年は僕を見て目を見開いている。

青年が何か言い始めようとした時、それは僕にバッジを見せろと言ってきた男の悲鳴で打ち消された。