次の日の朝。
ノイローが仕事に行くのと入れ違いで星男がやってきた。
僕と星男は地下に降りて、ノイローお手製のなんちゃって射撃場で練習することにした。
天気が良ければ外の方がいいんだけど今日は生憎の雨。
星男に簡単にリオの使い方を教えて、最初は人型の的の腹部を狙うように指示する。
リオを扱えるのがノイローと僕だけだと言うのは、別に特別な技術が必要だからではない。
単純に面倒だから誰も覚えたがらないと言うだけ。
操作自体は引き金が2つあるというだけで普通の銃とかわらない。
ただリオには普通の銃にはない独特の癖があって、銃口から弾が出るタイミングが引き金を引いた瞬間とズレるのだ。
おまけに普通の銃と同じ様に額を狙っても額には当たらず、左の眉尻に当たる。
つまりリオで額を撃つ場合はその癖を計算して狙う必要があるわけだ。
星男は中々苦戦しているらしく、うんうん 唸っている。
星男は凄く努力家なのでこの様子だと直ぐにマスター出来そう。
「でも何でリオなの?もっと普通の銃にすればいいのに」
僕がそう尋ねると、星男はヘヘッと照れた様に笑った。
「だってどうせ自分の相棒にするなら…可愛い女の子がいいじゃないですか。」
星男はハニカミながらそう言って再び的を見据えた。
YUKIちゃんって女の子だったんだ。
どうやら星男にはサイレンサー付きの銃も、二つ引き金がある変わった銃も可愛い女の子にみえるらしい。
言われてみれば女の子に見えなくもないような。
夢太Jrは男だよね…多分。
だって僕は男だし。
暇なので僕も星男の隣で腕を慣らすことにした。

