ゆっくりと、屋上のドアを開く。

「わっ、さむっ」

 開けた瞬間、冷たい空気が私を襲った。

 外に出る。

 静かに雪が降る。

 まだ、降り始めたばかりの雪は、ゆっくりと、ひらひらとそらを泳ぐように舞っている。

「…相馬?」

 私をここに呼んだ人物に声をかける。

 振り向いた彼は、少し困った顔をしていた。

「…どうしたの?」

 沈黙に耐えきれずに、聞く。

「うん…」

 相馬は、やっぱり少し困ったように笑った。

「…いきなり、悪かったな?」

「別に、いいけど…」

「…見たかったんや、雪花」

 どうしたんだろう。いつもの相馬らしくない。

「…雪華、と一緒に」

 歯切れが、悪い?

「雪が、花びらみたいやろ?」

「そ?白いゴミが降ってるみたいだけど」

 相馬は、一瞬驚いて、その後に笑った。

「あははっ。やっぱ雪華は、おもろいなぁ」


「…そんなに、雪花好きなの?」

「あぁ、好きや」

ーードキッ

 なに、ドキッとしてるんだろう?

「雪華って名前もええよなぁ。お前にぴったりな名前や」

 胸が、ドキドキする。
 相馬は、なに言ってるんだろう?