*・。-翼side-。・*
――僕は、いらない子なんだ。

僕のお父さんは・・。
人を殺した――。

僕の家は、貧乏で、暮らしていけるお金がなかったから。
お母さんは、そのせいで、病気で死んでしまった。

僕は、お父さんが大っっっ嫌いだ。
僕たちの為にやったとしても、許せない。

お父さんに殺された人には、女の子がいたって聞いた。
その子だって悲しんでるに決まってる。

――僕は、自分を責めていた――。
親を――。
親を亡くした孤独感。

そんなものが翼の中に駆け巡っていた。

そんな時だ――。
「おと・・・っさん・・・っ!おか・・・ぁさん・・・・っ!」
――僕と同い年くらいの女の子が泣いていた――。
女の子は、泣いているのに、“かわいい”って僕は思ってしまった。

声をかけようとしたその時――。
僕は、何故か声をかけれなかった。

なぜだろう。威圧感?“その子には近づいてはいけない”といった雰囲気がある。

でも、泣いている子を放っておくことが出来ない。
そして、その子には、“渡すべきもの”があったから――。

「どぅしたの?泣いてるの?」
――その子は、一瞬、僕に驚いた。
だけど、すぐに、また泣き始めた。

僕が
「どうしたの?泣いてるの?」
と声をかける。
すると――。

「おと・・・さんと・・・っ!おかぁさんが・・・っ!」
――この子の様子から、ただ事ではないと感じ取った。

「どうしたの?なにがあったの??」
そう言う僕の心は、言葉とは裏腹に出てきて欲しくない言葉が出てきた。
『死』

僕はその言葉を聞くのが怖かった。
女の子が何を言うか…想像がついてたから。

「死んじゃったの…!」
あぁ…。予想通り。

でも…。
ここであの子をなぐさめないと。

『大丈夫だよ…。これ…君のだよね?』
「…?!!!』
そういって、僕が見せたのは…。
小さなオルゴール。

「どこにあったの…?」
とても、綺麗な音だけど、残酷な音が流れて。

オルゴールは、まるで僕らの出会いを反対しているようだった。