「おかぁ・・・さん・・・っ!おと・・・ぅさん!」

――これは、私の思い出したくない――記憶。
――もう二度と開けることのない――。そんな風に思っていた記憶。
でも――この記憶を心の奥深くに鍵をかけてしまったいたのは――他でもない。
私なんだ――。

「おとーーーさーーぁん!おかーーーさーーぁん!」
「まぁ!ダメよ!妃紀!走ったら怪我するでしょ!?」
「ハハハハッ!元気がいいな!妃紀は!」
「うん!妃紀、元気!」
「・・・もうっ!」

――こんな楽しい時間を過ごせたのは、7年前まで。
今は――。なにか物足りない。そんな風に思う生活。
そして私は気付いた。

8歳の頃。物心がついてまだ間もない時――。
授業参観で、他の子の親はみんないるのに――私だけいない――。
当然おじいちゃんは理事長だから、学校の仕事があり、来れなかった。

そして、私は、両親が死んでしまったことに気付いた――。
――ううん。気付かなかったんじゃないんだ。
気付かない“ふり”をしてたんだ――。


――両親は殺された。
私をかばうように――殺された。
『どうせなら、私も連れてってくれればよかったのに。』
そう思う私の胸には、私のせいで両親が死んでしまった罪悪感。
――そして、私を残したまま逝ってしまった両親への――。
“憎しみ”が心を回っていた。



なんども、命を絶とうともした。

でも、その罪を止めてくれたのが――。
昔出会った“オルゴールの男の子”の存在だった。