「すず・・・」

俺は包帯でぐるぐる巻かれたすずの小さな頭
を優しくなでた

「っ痛かっただろな・・・」
そして俺は傷の残ったすずの痛々しい手を
優しく握り締めた

今にも折れそうなすずのスラッとした細い指
上手に塗られている淡いピンク色の爪
つるつるとした白い腕




初めてすずの体をこんなゆっくり見たな・・・

それは・・・それは
とてもきれいだった


その後、俺は突然おそった睡魔に根負けして
深い眠りについた



俺は夢を見た・・・

―何でか分からないけど俺より足の遅いすずが
 俺より何倍も速く走っている・・・

 『かなたあ!迎えに来てくれるまで待ってるからね☆』

 すずが両手でバイバイして消えていく夢を・・・ ―



「・・・た?・・きて・・・」

ん?
「もお!かなた!」
パッとその声で目が覚めた・・・すず?

「すず!」
「かなた~寝すぎだよお!!」

すずは上半身を起こしていた

「すず!大丈夫なのか?」

俺はアノ夢を思い出して心配になった
「大丈夫だよお☆心配かけてごめんね!
 あ-それより何か分からないけど
 まだ入院しないといけないんだって!」


・・・入院?あたりまえだろ・・・
すずは・・・すずは・・・


そのことを考えると涙が流れた
「かなた?どうしたの?」

心配そうに口をへの字にまげたすずが
俺の顔を覗き込んできた

「な、何もねえよ!」
俺は涙をぬぐった