すべて聞き終えた俺は時が止まった
目が乾いていてもまばたきさえ出来なかった
涙さえ流れっぱなしだった・・・

おばさんの話はこうだった

「すず・・・ガン・・だったの・・・にゅ、乳がん
 なんだって・・・も、もう・・・手遅れなの・・・
 もう・・・治らない・・・ん・・・だって・・・・」

そこから先、俺は耳をふさいでしまった

「聞いてほしいの!すずやかなたくんのためにも!」

おばさんは真剣な顔で・・・そして優しい目で言った

すずは・・・乳がんだ・・・しかも手遅れの・・・
交通事故の次は・・・ガンかよ・・・


「それでね」
おばさんは話を続けた

「それで・・・すずは後・・・

「やめてください!!!!」
俺は聞きたくなくて走り出そうとすると
おばさんは俺の腕をつかんでとめた

「かなたくん!」
おばさんは目を潤ませていた




「すずの命は・・・後・・・1年なの・・・」


  -1年-

「分かりました・・・」
俺は涙をこらえてすずのいる病室へ行った
足取りがとても重かった

すずはまだ目を覚ましていなかったが
スースーと聞こえる小さなすずの寝息に
俺はほっとした・・・