「──あっ!ユウ、なんだよそれ!」
放課後、晴れて自由の身(今日だけだが)のおれは、数名のダチとゲーセンに来ていた。
おれの鞄からはみ出たリボンに気付いた一人が騒ぎだすと、続々とダチが集まり、大騒ぎとなった。
「まさか、チョコ!?」
「そうだけど……」
「なにぃ!?テンメェェェェェェェェェ!!裏切りか!!なんだこの鞄は!?パンッパンじゃねぇか!!」
「なんか知らねぇ間に机に入ってたんだよ」
「この野郎ォォォォォ!!いくつだ!?いくつもらったんだ!?吐けぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「は?そんなんいちいち数えてね……」
答え終わる前に、ダチは一斉におれの鞄に飛びかかり、勝手にチョコの数を数え始めた。
ゲーセンのど真ん中で。
いい迷惑だろ……。
「あ、そっちのサブバックにも入ってっから」
「テンメェェェェェェェェェ!!ケンカ売ってんのか!!」
なんでだよ。
てか、女の子の賢さには驚かされた。
“バレンタイン・パニック”にも関わらず、チョコをくれる子が大半だったんだ。
なんでも数日前から準備していたらしい。
すげぇよな。なんか。
「おれ一人じゃ食いきれねぇから、オメェら食ってくんね?」
「ア"ァ"ン!?ユウ、テメェ、どんだけおれらのガラスのハートを傷つければ気が済むんだよ!!いただきまーっす!!」

