最カノ・アスカ様。

ドカッ!!


「痛って!蹴ることねぇじゃん!ケガ人のくせに」

「テメェが気色悪りぃこと言うからだ!!」


てかやっぱ、誰も信じてくれねぇのな。


なぁ、昨日首締められたんだぜ?おれ。


すんげぇ苦しかったんだぞ?

死ぬかと思ったんだぞ?


一歩間違えばもしかしたら、今この場所にいなかったかもしれねんだぞ?


「でっ!どーだったのよ!?」

「……心の声、読めてねぇじゃん」

「え?」

「……なんでもねぇ」

「ちょ、ユウ!どこ行くんだよ〜?」


もういい。


誰にも話さねぇ。


絶っっっ対、話さねぇ。


ヤケになってやる。





「──ユウイチくんっ……!」


教室を出たおれは、悶々と廊下を歩いていた。


声をかけられ、たった今通り過ぎた場所を振り返る。


そこには、朝にも関わらず夕陽のように真っ赤な顔をした──


「あ……」

「今、いいかな……?」


弱々しいながらもしっかりとした声は、騒がしい廊下でもおれの耳に鮮明に届いた。