最カノ・アスカ様。

「救急車来るまで待ってらんなかったからァ、ウチが運んであげたのよン」


……え?


「ははっ、冗談やめてくださいよ〜」

「ブゥ〜ほんとだもんッ」


ちょ、待てよ……。

だって、おかしいだろ。


あれは少しガタイのいい救急隊員だったんじゃねぇの?


あの硬い胸板……。


それとも、あれは夢だったのか?


や、でも……


「男を女が運ぶなんて、無理っしょ」


オレ、身長180cm以上あんだぞ?


そんな奴を運ぶなんて(しかもお姫様だっこで)、男でもキツくね?


「いやァ超、余裕だしィだって、困ってる人助けなきゃじゃーん」

「待てよ待てよ待てよ……。それ、なんかのネタ?もういいって……」

「だから、ネタじゃないってばァなんで、信じてくれないのォ?」

「信じるもなにも、ありえねぇし……」


なんなんだ?コイツ……。


だんだん、右側にいる見えない女が気持ち悪く思えてきた。


なんとなく険悪なムードが漂う中、それを遮るように病室のドアが開かれた。