突然声がクリアになったと思ったら,グイッと腕を引っ張られた。

ビックリして見上げると,そこにいたのはずっと忘れられなかった人…

元彼の涼だった。

え??

え??

なに??

なんでいるの??

驚き過ぎて声が出ない。

私,どうしたらいいの??

思いっきり目を見開き固まっている私は,すごく間抜けな顔をしていたに違いない。

でも涼は噴き出したりしない。

優しく目を細め,フッと笑った。

…あ,あの頃と同じだ。

ドキドキしてた,大好きな笑顔。

夢に何度も出てきた,

触れようとすると消えてしまう笑顔。


『久しぶり,紗帆。そのマフラーですぐ分かった。』

その言葉に私はギュッとマフラーをだきしめて下を向いた。

…3年も経っているのに覚えているなんて。

『3年も経ってるのに??って思ってるでしょ??』

と言って小さく笑う。

私は頷いた。

3年前もそうだった。

いつでも涼は私の考えている事がわかってしまう。