「つ…付き合ってください!!」


「…………」



静かな部屋の中に一瞬張りつめた空気。

でもそれから数秒後、そこは再び元の穏やかな雰囲気に包まれる。



また、やってしまいました…



勉強中の余計な話は禁止。

陽サマは私になんて興味のなさそうな表情で、問題集から視線を外さなかった。



高校に入学して数カ月。

また以前のように、陽サマに家庭教師をお願いした私だったけど

その距離は
まったく縮まっていない。



「由利さん…」


「すみません!勉強とは関係のない話をしてしまいました」



変わらない一本調子の声。

どうせまた、無関係ですとか言って聞き流すんでしょ?

そろそろいいかも…
とか思ったから、勇気を振り絞って言ってみたのに。



それでもそんな陽サマに、私はやっぱりときめきまくって。

なびく髪にも、
微かな呼吸の音にも。

全部にドキドキが止まらない。



でもせめて、視線くらいは普通に合わせるようにしてほしいよ。

本当に素っ気ないとこは、全然変わらないんだから!