今日は、時間よりちょっと早めに昨日、開催していた手品を見に階段広場へ来た。

すっかり、日が暮れてまだ、冷たい風が頬を傷める。

でも、シュンさんは来ない。


『気分次第?』


本当に…気まぐれなんだ。


「…くしゅん!!」


ヤバい。

寒いんだけど…。

もう今日は、やらないのかな?

「ガラガラ〜♪」


「あっ!!」


シュンさんだぁ!


ダウンジャケットに昨日と同じのニット帽。

気づかなかったけど、顔小さいし背が高いんだ!

かっこいい…。


「あの…くしゅん!!」

近寄って、声かけたらくしゃみなんて、恥ずかしい。


「あっ!!昨日の…?」


シュンさんが、振り向いて目をパチクリする。

『…昨日の?』

名前言ったのに〜。


「ゆ・り・か・です!!」


「デカい声出すなよ?っつうか風邪引いてんなら、帰った方がいいんじゃね!優里伽ちゃん?」


シュンさんは、黒いクロスを引いて、鼻歌を口にしながら、淡々と準備している。


「帰りません!手品見に来たんだもん。」


「親、心配しないの?学生が一人でぶらぶらして…♪〜♪」


高校生は、大人だし!

ママなんて心配してない。

されたくない…。

「そこ、邪魔なんだけど?」

あっ!!

つい、前に出て反論していたのに気づいた。