「あっ!!じゃあ!名前だけでも教えてくれませんか?」


真剣だった目が、またさっきと同じように怖い目つきに変わる。


「普通、君から言うもんじゃない?」


あっ!!そうだよね。

動揺を隠す事で精一杯みたい…。


「優里伽って言います!」


ニヤっと笑みを浮かべながら、彼は言った。


「ちゃんと言うんだね!あっ!!わりぃ〜俺はシュン」


その、笑顔ずるい!


名前を言うと、ガラガラ音が再開されてネオン街に消えて行った。


今日は、眠れないかも。


私は、今日始めて会った手品師シュンさんが頭から離れなかった。


性格悪いかと思えば、最後に見せたあの笑顔。

チップ集めといて、使い道があるとか言って!


あと…不思議なマジック。


どんな仕掛けがあるのかな?

そんな事を悶々と、考えながら家に着いた。