ブォーン、ブォーン、ブォン!


真冬の鈴鹿サーキット。


キーンと冷たい空気にたった1台のバイクの排気音がこだましている。


それ以外の音は聞こえない。


この季節、バイクのロードレースはシーズンオフに入るが

テストライダーのマキオは忙しい。

バイクのロードレースは鈴鹿8時間耐久レースが代表的な時速300キロで1000分の1秒を競うレースである。

マキオ、北条マキオは、35歳のレースには出場しないレース用のバイクのテストのみを行うプロのライダーである。

マキオはすでに35歳であり、ライダーのピークは過ぎている。

ほとんどのプロのライダーは30代前半で引退し、バイクを降りる。

ケガも多く、その割に稼ぎは良くない。
年収数千万稼ぐライダーは日本でもトップの10人ほどである。