「神崎薫」 一瞬何を言ったか分からなかった。 男が私に股がったまま顔を向けたからだ。 さっきさ気づかなかったけど瞳が蒼い。 顔は日本人なのに瞳は透き通るような綺麗な蒼だった。 多分、天然の。 「美月」 薫が私の名前を呼ぶ。 体中が熱くなって心臓がドクンと跳ねる。 「俺のもんになれ」 静寂の中静かに言うと、薫は私の唇を自分の唇で覆った。 唇の熱が離れた時、タイミング良くチャイムが鳴った。 まるで魔法がとけるみたいに。