涼介の周りの人間を見渡しても 一度 覚醒剤に手を出した人間は どれだけ苦しんでも どれだけ長い間 刑務所に入っても 必ずと言っていいほど また覚醒剤に手を染める。
それは 覚醒剤という白い粉が見せる桃源郷なのだろうか?

例えば 若者が好奇心から薬に手を出す。
すると自然に薬をする人間が集まってくる。その小さな集団の中で自分の存在を明らかにするのは いかに色々な薬を知っているか、いかに自分が薬を極めているか…くだらない見栄と自己主張と 自分は他の人間とは違うんだという勘違いが 依存という連鎖を繰り返す。
薬によって 目覚めた五感が脳を刺激し その薬が見せる幻を また見たくなる。

確実にそれは体を蝕んでいるのに……。


『覚醒剤やめますか?
それとも人間やめますか?』

あのCMはリアルな言葉なのだろう。


けれど私は涼介を愛している。
覚醒剤をやめなくても 人間じゃない姿になったとしても
私は涼介を愛して止まないだろう……。