その日の夜はひどく寝苦しかった。
明日は雨が降るのだろうか?今年の梅雨は長引くそうだ。
ベタベタとした湿気が肌を襲う。


寝苦しいのは この湿気のせいだけでないことは解っていた。


さっき出会ったばかりの涼介のことが頭から離れない。


覚醒剤ってもっとダークな存在だと思っていた。
映画やドラマで見る覚醒剤中毒者は何日も食事も取らず 何日も寝ないで
ガリガリに痩せこけ、目も虚ろで 顔色も悪く 薬、薬、と喚きながら注射を打っているイメージだった。



ところが涼介はどうだ。
酒はガンガン飲むし つまみも全部平らげていた。
それに格闘家のようなガッチリした体はモロ私のタイプだった。


でも 彼は覚醒剤中毒者で覚醒剤の売人……。