足を止めて、
振り返ると当然のように優はいない。



「追っかけて来い、ばか・・・・・・」


涙をぼろぼろと零してるあたしは、
たくさんの人からの注目の的。


でも人の目なんて気にしない。


その場にぺたんと座り込み、
子供のように泣き出してしまった。




「うえぇ~ん・・・・・・」


人ごみの中頑張って買ったチョコは、
想像していた渡し方なんて出来なかった。


たぶんあたった場所が角っぽいから、
明日あたりは優のおでこは赤いかな。



優のおでこの心配をしながら、
涙を拭くことも泣くケーキの箱を見つめる。



あたしがケーキを貰いに行くまでに考えていたことと、全く違うことが起こってしまった。






ただ一緒にいたいだけなのに・・・・・・





「ひっく・・・・優の・・・ばかぁ~」





優との想いが噛み合わない。




「どうしろってんだよ。愛のあほ・・・」





バレンタインまで、あと少し。

噛み合わない想いのまま、あたしたちは一体何をしたらいいんだろう。