どんどん視界を曇らせて、
どんどん優が見えなくなる。



涙が零れる。


ぎゅっとケーキの箱を握り締める。


ごしごし制服の裾で涙を拭うと、
目の前では穏やかな表情であたしの見つめてる優がいる。





なんで、

なんで、そんな風に笑うのよ・・・・



ケーキを持ってない方の手で、
鞄をあさり目当てのものを探し当てる。


探していたものを手に取り、
キッと優を睨んだ。




「優の・・・・・・・・」


鞄から手を抜き、
大きく振りかぶって・・・・・




「ばかちーんッ!!」


バレンタインのために買ったチョコを思いっきり優に投げつけた。


チョコの箱は、
コーンと軽やかな音を立てて、
優のおでこにヒットした。


当たったと確認してから、
振り返って優を背に走り出した。




優の馬鹿! ばかちん!!

あほ優、くそ優!! どっかいっちゃえー!




心の中で悪口を言いまくる。



さっきまで我慢してた涙が、
今頃になってたくさん出てくる。