「おーい、こっちこっち!!」


椅子に座っていた佐野君がこれでもかってくらい大きく手を振っている。


その隣には、優が大人しく座っていた。




「亮太くーん!」



その佐野君を見つけて、
小走りで駆けていく千夏。


あたしもその後を追うように、
千夏の後に付いていった。



「来るの早かったね」


「ちょっと走っちゃった」


へへッと笑う千夏を横目に、
あたしも優の座る前へと向かう。



「よぅ」


右手を軽く上げて、
上目ずかいであたしを見上げる優。


---どき・・・・・




その顔は、犯罪だぁああ!!



「・・・・・・・・よぅ」




柄にもなくきゅんとしてしまったことを隠すかのように、下を向いて優と同じように右手を上げた。



「なんか今日髪はねてんぞ。
あっ、いっつもだっけ?」


「うっさいなぁ・・・・・」


優のいじりを軽く交わして、
心臓の上あたりできゅっと手を握った。



静まれ、心臓・・・・・・・