ニコニコしながら見つめる千夏。



あぁ、千夏はきっとあたしが気付く前から
あたしの本当の気持ちに気付いてたんだな。


と、しみじみ考えてしまった。





「違ったよ」


「え?」


「あたしは優を好きじゃなかった! 以上!」


「えぇー、違ったの?」


「うん。違ったよ?」


「なぁんだ。でもいいんじゃない?
小倉君と波ちゃんって怪しいし。

好きになってたら愛が傷ついたかもだしね!」


「そう、だね・・・」


「あ。あたし衣装の補強頼まれてるんだった! もう行くね?」


「あい。いってらっしゃーい」





“ほんとは好きだったよ。”


歩いていく千夏の背中に向かって心の中で呟いた。


本当の事を言えなかった。
それはきっと、千夏は絶対にあたしの恋を応援してくれると思ったから。


だから叶う可能性がなさ過ぎるあたしの恋に、振り回す訳には行かないの・・・・・



あたしが喜べば、いっしょに喜んでくれる。

あたしがへこんでたら、励ましてくれる。


あたしが泣いてたら・・・・・・



絶対千夏も泣くでしょう?



そんな勝手出来ないよ。