「何言わせてんだよ!
もういい! 早く帰んぞ!!」


どんどんあたしを置いて歩き出す優。

あたしも優の後を追う。



気のせいか、優の顔が赤い。


気のせい、じゃないか・・・・

だってあたしに好きな人がバレたんだもん。





なんとなくわかってた。


優が波ちゃんを好きなこと


わかってたよ・・・・・・





だってあたしはもう
とっくにその事に気が付いてたんだもん。




気付かない振りしてた。

だって気が付いたら、
自分が、自分じゃなくなるような気がしたから・・・・・・



目の前にある優の背中が滲んで見える。

あたしの視界が揺らぐ。


さっきから何も話さないのに、
優はそのことに全く気付かない。



“お前は論外”



そう言われてる気がした。