もう随分古い映画だが、「ひまわり」という作品がある。

男は誰か忘れたが、女主人公はソフィア・ローレンだった。

普通に恋をし、結婚した二人だが、男の方は戦争にかり出される。

女はずっと夫の帰りを待つのだが、果たして、戦争が終わっても彼は帰ってこないのである。

女はその夫を探しに戦地だった村へ行く。

やっと男の居場所を突きとめた女は会いに行くのだが、男は戦地で知り合った女と暮らしていたのだ。

そのシーンでバックに流れているのが、ヘンリー・マンシーニの「ひまわり」である。

あの憂愁を感じさせるメロディーを聞くと、自然と涙がこみ上げてくる。

ローレン演ずる女につい感情移入してしまうせいかもしれない。

決して嫌な曲ではない。

静かでいい感じの曲である。

しかし、泣けてくるのである。そんな曲というものが世の中にはあるのだ。

実際的に考えると、戦争の時代、現地妻を持っていた兵士は決して彼だけではない。

事実、私の親戚にも同じ輩がいた。

道徳的な良し悪しをいえば、この男は徳義に反するだろう。

私はそんなことを言っているのではない。

確かに、現地妻を設けたとも知らずに待ち続けた女房の気持ちを考えると、泣けてくるのではある。