花を育てていると、虫には実によく会う。

梔子(くちなし)にはオオウスバ(雀蛾)、薔薇にはバラハキリバチ、

朝顔にはオビカレハ(雀蛾)やカメムシ、柚子やグレープフルーツにはアゲハ、

キャベツの親戚の葉牡丹や菜の花にはアオムシ、松にはマツケムシ、

桜や花水木にはオオミズアオ、カーネーションにはナメクジ、

紫陽花にはカタツムリ、木瓜にはアブラムシやテントウムシ。

土にはミミズ、ダンゴムシ、ワラジムシ、シケムシ、口蓋ビル、

蚊、蝿まで時々姿を見せる。

蜘蛛も何だか数種類はいる。

木には鳥が来るし、葉陰にはヒキガエルがいる。

大きな邸宅の庭でも、山が眼前にそびえるような田舎でもない。

1キロ先は23区という東京郊外だ。

「虫愛ずる姫君」というのが『源氏物語』に出てくるが、不思議なことに、あれほど成虫を愛でる蝶なのに、人は幼虫時代を毛嫌いする。

「野いちご」で作品を発表したパープルさんは、現代語訳されながら、あの姫君をどんな風にお思いになったのかしら。

私は、芋虫毛虫も、刺しさえしなければ嫌いではない。

確かにわれわれとは異質の体つきをしている。

見慣れないとやはり嫌悪感が先に立つ虫もいる。