私の小さな宝物

すると和生は席を立ち、私の隣に膝まづいた。


「…ありがと、ありがとう沙耶。俺、すっげえ嬉しい。」


私を見上げるその瞳には、うっすら光る物が。

やだ、私まで感動してきちゃったじゃない。


「お腹、触っていい?」


キラキラした瞳で見つめられて。
私はなんだか恥ずかしくなってきて、無言で頷いた。

愛おしそうに、優しく私のお腹を触る和生。


「ここにいるんだ、俺達の赤ちゃん。ずっと、ずっと会えるの待ってたよ。」





その言葉を聞いた時、私の瞳から涙が零れた。


やっぱり和生も私と同じ様に悩んでいたのかもしれない。
辛い思いをしていたのかもしれない。

お互い、赤ちゃんの事は触れない様にしていただけなんだ。

ただ、『早く子供欲しいね』って言って。




赤ちゃん、本当にありがとう。
私達をパパとママにしてくれて。