部屋に戻ると出たときと1℃も温度が変わっていないので、
エアコンに耳を寄せてみたけれど、まったく音がしなかった。
「04」をコールしてフロントに繋ぎ、
「エアコンが壊れてる!」と伝えたかったのに、
なにやら早口で電話を切られ、その後の音沙汰はなかった。
英語圏での挫折を味わい、テレビの上のデジタル時計を見ると、
午前7時43分を表示していた。
「雛子が来たら、フロントに伝えてもらおう」
無駄にもういちどコールする事はせず、そう思ってベッドに入った。
私の英検2級のプライドなんて、そんなものだった。

