茉莉恵が午後の授業を早退したその日の5時間目は体育で、 着替え終わって体育館に向かう廊下で彩紗は無言のままだった。 彼女もきっと、私と同じように先ほどの茉莉恵の発言について 考えていたんだと思う。 「てかさ」 ジャージのポケットに両手を突っ込みながら私は言った。 「うん」 「突き落とされるようなことしてるのかよって言う」 「うん」としか彩紗は言わなかった。 それは中学1年の2学期の終わり、期末テストが近くに迫った時期だった。