「余命、半年です」

俺は医者の言葉につい笑ってしまった。

「まことに残念ですが、手遅れでした」

今度は顔に手をあてて爆笑してしまう。

冗談にしても笑えないとはよく言うが、本当だったら笑えるんだな、そう思った。

ひとしきり笑い終えるのを、医者は待っていた。

ひょっとすると、これは案外メジャーな反応なのかもしれない。

大きく息を吐いて、両手で顔を覆う。

俺は、歯を食いしばってそのまま顔を締め付けた。絶望が涙にならないように、必死に締め付けた。