「よっす」

自動ドアが開くと、いつものように軽く手を上げてマキトが笑っていた。

「あれ、珍しいじゃない、ミヨちゃんは?」

「今日は俺一人」

そう言って、マキトは自分を指差した。

それから周りを見回して、他に客がいないことを確認してから、奥のテーブルを指差します。

「うちの店はアンタの休憩所じゃないんだけどね」

「……話がある」

いつもの笑顔が消え、搾り出すように言ったその言葉を、アタシはいまでも忘れない。